生まれつきではなく、経験で育つ人間の本質

「性格は生まれつきのもの」だと感じたことはありませんか。
たしかに、子どもの頃からの気質や親の影響によって、ある程度の傾向は形成されます。
しかし、それだけで一生が決まるわけではありません。

私自身、昔は人見知りで、人前で話すことが苦手でした。
ところが、社会人になって幅広い年代の方と関わったり、飲み会やプレゼンなどを重ねるうちに、「伝える力」が少しずつ身につきました。
そうした経験を経て、「性格は変わる」という実感を持つようになったのです。

つまり、性格とは固定されたものではなく、「環境」と「経験」によって育まれていくものだと思います。

性格を形作る3つの要因

私は、性格を形作る要因は大きく3つあると考えています。

幼少期にどのような家庭で育ったかは、人格形成に大きく影響します。
親の口調、価値観、家庭の雰囲気──それらを子どもは無意識に吸収します。

「ありがとう」や「ごめんなさい」が自然に言える人は、家庭での会話の中でその習慣を身につけた人が多いように感じます。

学校や職場などの人間関係も、性格を柔軟に変化させる要因です。
たとえば、リーダーに抜擢された経験が自信を生み、人をまとめる力を育てることもあります。
反対に、集団生活でうまくいかない経験を通じて「人との距離の取り方」を学ぶこともあるでしょう。

大人になってからの経験や価値観の変化によっても、性格は成長します。
仕事での失敗、信頼関係の崩壊、反面教師──これらは一見ネガティブな出来事に見えても、実は捉え方次第で「内面を磨く経験」です。

私の場合、過去の自分の失敗を思い出すたびに「次はこうしよう」と考え、少しずつ行動を変えてきました。
その積み重ねが、自分の性格を少しずつ形づくっているのだと実感しています。

ガンジーの言葉に「明日死ぬように生きろ、永遠に生きるかのように学べ」という有名な言葉があります。
この言葉は、性格というテーマにも通じると思います。

人は、年齢を重ねても経験から学び、考え方を変えることができます。
つまり、「人間は死ぬまで成長できる生き物」なのです。

「もうこの性格だから」「自分は変われない」と思い込むのは、自分の可能性を閉ざすことにほかなりません。
むしろ、「今の自分を少しでも良くしていこう」という姿勢こそ、性格を柔軟に育てていく第一歩だと感じます。

性格は、確かに生まれ持った気質による影響もあります。
しかし、家庭・環境・経験の3つを通して、人は何度でも変わることができます。

私は、性格とは「変えるもの」ではなく、「育てていくもの」だと考えています。
それは努力や意識次第で、どんな年齢からでも可能です。

大切なのは、「自分の性格をどう活かすか」「どんな自分でありたいか」を意識することです。
その積み重ねが、やがて「自分らしい人間性」をつくっていくのだと思います。