契約書リスクの見抜き方

仕事術

「署名する前に」気づける人が損をしない

生活インフラの更新や、新しい取引先との契約、既存のパートナー企業との覚書更新など、日々の生活や業務で契約業務は発生します。
その裏には、思わぬ落とし穴が潜んでいます。

特に「早く進めたい」「相手が大手だから安心だ」と思っているときこそ要注意です。
私も過去に、急ぎの案件で契約内容を深く確認せずに進めてしまい、想定外の追加費用を負担する羽目になった経験があります。

この経験を通じて学んだのは、契約書は「信頼の証」ではなく、「責任の線引き」であるということです。
今回は、法務も兼任している私自身の経験をもとに、契約リスクを事前に見抜くためのポイントを紹介します。


契約書は「作り手に都合よく」作られている

まず前提として、契約書は基本的に「作成した側が有利になるように書かれている」ものです。
これは悪意ではなく、どの企業でも当然のリスクヘッジです。

だからこそ、「自分や自社にとって不利な条項がどこにあるか」を冷静に見抜くことが大切です。

例えば、委託契約書でよくある「成果物の権利はすべて発注者に帰属する」という文言。
この条文をそのまま受け入れると、制作側のノウハウや再利用の自由を失う可能性があります。

契約のトラブルは、「想定外」というよりも、「想定不足」から起こるものです。
「信頼しているから読まなくていい」ではなく、「信頼しているからこそ確認する」姿勢が重要です。


リスクは数字とタイミングに宿る

契約の中で最もリスクが現れやすいのは、数字と期日です。
この2つを正確に読み解くことで、ほとんどのトラブルを防ぐことができます。

特に注意すべきポイントは次の3つです。

  1. 契約期間 — 自動更新条項の有無を確認する。意図せず「半永久契約」になっていないか。

  2. 支払い条件 — 「検収後○日以内」など、期日の起点を正確に把握する。

  3. 解約規定 — 「○ヶ月前予告」「違約金○%」など、実際に実行できる条件かを確認する。

私は以前、外注先との契約で「納品後60日以内支払い」という条文を見落とし、キャッシュフローに支障が出たことがあります。

契約上は問題がなくても、自社の運用面で「現実的に回せる条件かどうか」を見抜く力が必要だと痛感しました。


違約金と責任範囲の「上限設定」に要注意

違約金や損害賠償の規定は、法律の上限いっぱいに設定されることが多いです。
もちろん違法ではありませんが、「最大損失がどの程度になるか」を理解しないまま署名するのは危険です。

特に注意すべき文言は、以下のようなものです。

  • 「過失の有無を問わず、全損害を補償する」

  • 「第三者への損害についても責任を負う」

このような条文があると、トラブル発生時に責任の範囲が無限に広がる可能性があります。

私は契約を確認する際、必ず「損害賠償の上限を明記してもらえませんか?」と交渉するようにしています。
この一言で、後の安心感が大きく変わります。


条文の「意図」を読み解く力を持つ

契約書は、修正や加筆を繰り返すうちに全体の整合性が崩れてしまうことがあります。
また、複数の条文を付け加えられている場合、条文同士の関係性が複雑になることもあります。

一見関係のない条項が、他の条件と密接にリンクしているケースも多いです。
私も以前、「不要だ」と判断して読み飛ばした一文が、別の条項とつながっており、結果的に契約の趣旨を理解できていなかったことがありました。

その経験から、契約書を読むときは文言だけでなく「意図」を読むことが大切だと感じています。
「この条項を入れた目的は何か?」
「この一文を削ると、どんな影響があるか?」
と自問するだけで、見落としを大きく減らすことができます。


まとめ

契約リスクを見抜く力とは、文字を読む力だけでなく、相手の意図を理解する力です。
契約書は「責任の線引き」であると同時に、自社を守る盾にもなり、見誤れば自社を傷つける刃にもなり得る存在です。

私も以前は「契約は形式的なもの」と考えていましたが、今では「自社のビジネスを守る防具」だと考えています。
サインする前に、「自社が守られているか」「相手も納得できる内容か」を意識して整えることが、トラブルを防ぐ最も確実な方法です。

契約書は、「信頼しているからこそ精査する」。
この姿勢が、結果として双方の信頼を強くし、長い取引関係を築く基盤になるのだと思います。

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