退職が日常だった職場で思ったこと

仕事術

年末が近づくと、職場は一気に慌ただしくなる。
仕事納めに向けてバタつく人もいれば、最後の数字づくりに追われて駆け回る営業マンも多い時期だ。
そんな節目の空気の中で、静かに「退職」という選択をする人も少なくない。

実際、私が光通信系の営業会社で新規営業をしていた頃も、年末は特に退職者が増えやすいタイミングだった。
「今年いっぱいで…」「区切りがいいので…」そんな言葉を何度も聞いた。

そこで今回は、あの環境で働いていた私自身の経験をもとに、「退職者の多い職場」について感じたことを書いてみたい。

退職が日常だった職場で思ったこと

私が営業会社で働いていた頃、職場は毎月のように「入社と退社」が同時に起こっていた。

中途で誰かが新しく入ってきて、働いていた誰かが辞める。
もはやニュースではなく、ただの「月初の風景」だった。

しかし、この人数的な±0は実際の現場ではゼロではない。
むしろ マイナス だった。

経験者が抜ければノウハウは失われ、新人教育はまた一からやり直し。
会社は「替えはいくらでもいる」と言うが、現実には売上や進行スピードは落ち、徐々に数字に直結していた。

人は資産だとよく言うが、現場にいるとそれを痛感する。
「あの人がいるから空気が良い」「この人がいるから業務がまわる」

そんな存在が突然いなくなると、チームが一気に崩れる。

なぜこんなに辞めるのか

転職が珍しくない時代とはいえ、退職が多いことにはやはり理由がある。

・仕事の負荷が大きい
・先輩や上長との相性 
・環境が合わない
・給与や評価への不満
・休みが少ない
・将来のキャリアが見えない etc

原因は一つではなく、複合的に積み重なる。
特に営業職は「数字」「管理」「詰め」など、人を精神的に追い詰めやすい構造がある。
そして何より大きいのは、改善する気配がないと感じた瞬間、人は一気に離れるということ

私自身、入社時に色々教えてくれた先輩がいなくなった時は不安が強かった。
初めて受注が決まった時に同伴してアドバイスをくれた先輩も突然消えた。

そんな出来事が続くと、ふと頭をよぎる。
「この会社、大丈夫か?」
「ここに居続けても良くなる未来はあるのか?」

職場全体の空気は、退職者数以上に重かった。

退職代行という選択肢が“普通化”していた

そんな環境の中、ある優秀な若手の女性営業マンが突然会社に来なくなった。

社長から表彰され、スピーチもするほど成績優秀で、直属の上長とも仲が良く見えていた。
誰から見ても優秀で、今後会社のマネジメントを担っていく人材だと思っていた。

後から人づてに聞いた理由は「退職代行を使ったため」だった。

正直、驚いた…

けれど、その後の退職者にも同じように代行を利用する人は複数名いた。
性別も年齢もバラバラだった。

もはや、「退職届を持って上長へ提出」という風景はレアケースなのかもしれない。
実際、私が新卒で入った会社を辞めた時も、直筆の退職届を書いたが結局提出せず、会社独自のフローに沿って書類を出すだけで終わった。

どの会社も退職の手続きは様々だろうが、人によっては心理的にしんどい工程もあるだろう。
それらを丸ごと処理してくれるのが代行サービスで、利用者が増えるのも理解できる。

 「人は辞めても会社は回る」は本当か

よく「会社員は替えが効く」と言われるが、実際の現場ではそう単純ではない。
辞めた人が担当していた案件がストップすることもあれば、急にチームがぎくしゃくすることもある。
「替えが効く」のは役職ではなく作業だけだ。

実際には
・そこにいた人の空気
・築いてきた信頼
・顧客との関係
・チームのムード
これらは簡単には代替できない。

だからこそ、誰かの退職は金銭的損失以上に、職場の温度を下げることが多かった。
特に、ムードメーカーのような存在が抜けると、部署の雰囲気がガラッと変わり、残された側は「この先どうなるのだろう」と不安を抱える。

将来が良くなる兆しが見えないと人は辞める

私がいた職場でも、退職が多い理由は明確だった。
「負荷の大きさ」や「人間関係」もあるが、最大の原因は 「自分が良くなる未来が見えない」ことだ。

退職者が続く
→残った人の負担が増える
→さらに辞める
→企業は新人を採用しても育つ前に辞める
→育てる人も辞める
→また負担が増える

このループがどこまでも続いた。

離職率が高い会社には、共通してこの循環がある。
そして、現場の社員はそれに薄々気づきながら、
「ここにいても良くならない」と思った時点で決断する。

転職が当たり前の時代だからこそ、辞める=逃げではない。
むしろ、自分の人生を守るための選択肢は増えている。

退職代行が広がった背景にも、そんな時代の空気がある。
会社の社会的信用やペナルティよりも、自分の健康や将来の方が大切だという考えが広がっている。
むしろそれが当たり前になりつつある。

まとめ

職場に人が定着しない理由は単純ではない。
けれど一つ言えるのは、良くなる兆しが見えない組織は、人が自然と離れていくということだ。

あなたが今、同じような職場で悩んでいるなら、
「ここで働く自分の未来は明るいか?」

その問いに向き合うことが、最初の一歩かもしれない。

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